マリ移民の「スパイダーマン」、仏市民権取得へ パリで4歳児救助

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パリ北部の18区で26日、集合住宅の4階ベランダからぶら下がった幼児を22歳の移民男性が救助した。英雄だと称えられているマリ移民の男性には、フランス市民権が授与される見込みだ。

マモウドゥ・ガッサマさんは、ベランダを4階までよじ登って4歳の男児を助けたことで大勢に称賛されている。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、ガッサマさんが見守る人々の応援を受けながら、バルコニーからバルコニーへと次々とよじ登り、4階にたどり着く様子が映っている。

ガッサマさんは28日、仏大統領官邸のエリゼ宮に招かれ、エマニュエル・マクロン仏大統領と面会した。マクロン大統領は面会後、ガッサマさんに帰化市民権が与えられる見込みだと述べた。

マクロン氏は自ら直接、ガッサマさんに感謝を伝え、勇気を称える勲章を授与した。ガッサマさんには消防士の職も与えられる予定だ。

ガッサマさんは、ボートで地中海を越えてイタリアに渡るなどヨーロッパへの長く危険な旅を経て、昨年フランスにたどり着いたという。

ガッサマさんを一気に時の人にした救出劇は26日夕方、パリ北部の路上で起きた。

ガッサマさんが現場を通りかかると、建物の前に集まった群衆を見たという。

「考える時間がなかったので、走って道路を渡り、幼児を助けました」とガッサマさんはマクロン氏に語った。

「私はただ登っただけで、神に感謝します。神が私を助けてくれました。登れば登るほど、もっと高くまで登る勇気が湧いてきたんです。それだけです」とガッサマさんは付け加えた。

ガッサマさんによると、男児はガッサマさんに安全な場所へ引き上げられた時、涙を流していたという。また、足にけがもしていた。

消防士が到着したときには、男児は既に救助されていた。

「幸運にも、子供を救助できるだけの身体能力と勇気を持った人がそこにいた」と消防当局の報道官は述べた。

ガッサマさんは28日、マクロン大統領に面会したImage copyrightREUTERS
Image captionガッサマさんは28日、マクロン大統領に面会した
大統領官邸の外で授与された表彰状を見せるガッサマさんImage copyrightAFP
Image caption大統領官邸の外で授与された表彰状を見せるガッサマさん

地元メディアはパリ当局の話として、4歳児の両親は当時家を不在にしていたと報じた。司法筋によると、父親は、保護責任者による遺棄の疑いで警察の聴取を受けた。母親は当時パリにいなかったとみられている。

パリのアンヌ・イダルゴ市長もガッサマさんの勇気を称賛し、ガッサマさんに電話をかけて感謝の言葉を伝えたと明らかにした。

イダルゴ市長はガッサマさんを救助現場から「18区のスパイダーマン」と言及し、「全ての市民の模範」と呼んだ。

市長はツイッターに「昨晩、子供の命を救った勇敢な行為の実行者、マモウドウ・ガッサマさんに大きなブラボーを。今日、直接電話して心からの感謝を伝えられたことを喜ばしく思う」と投稿した。

<解説>マリ人の新英雄、フランスに出現――アレックス・デュバル・スミス BBCニュース西アフリカ特派員

ガッサマさんが建物を4階まで駆け上がった様子は、もう1人のマリ人の英雄を思い出させた。2015年1月、パリのユダヤ食品専門スーパーマーケットで起きたイスラム過激派による人質事件で全国的に有名になったマリ移民男性だ。

当時24歳だったマリ人従業員の若者、ラサナ・バシリーさんは、事件発生当時店内にいた赤ちゃんを含む6人の買い物客を安全な隠れ場所に誘導し、自身は1人で店を脱出して警官隊を案内し救助に向かわせた。この行動で、買い物客は命を助けられた。

事件まで6年にわたり正規の在住権を求めて仏当局相手に格闘していたバシリーさんは、事件後に勲章とフランスのパスポートを当時のフランソワ・オランド大統領から授与された。

バシリーさんは2016年、著書「私はヒーローではない」を出版し、慈善団体も立ち上げた。団体の最初の企画は、マリ西部にある故郷の村に灌漑(かんがい)設備を作るというものだった。

バシリーさんの人質を守る利他的なリーダーシップと同じように、ガッサマさんの男児を守る英雄的なビル登りは、昔ながらの公的精神の文化を持つ国としてのマリの印象を強固なものにしている。

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© http://www.bbc.com/japanese/44285473

パリ北部の18区で26日、集合住宅の4階ベランダからぶら下がった幼児を22歳の移民男性が救助した。英雄だと称えられているマリ移民の男性には、フランス市民権が授与される見込みだ。

マモウドゥ・ガッサマさんは、ベランダを4階までよじ登って4歳の男児を助けたことで大勢に称賛されている。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、ガッサマさんが見守る人々の応援を受けながら、バルコニーからバルコニーへと次々とよじ登り、4階にたどり着く様子が映っている。

ガッサマさんは28日、仏大統領官邸のエリゼ宮に招かれ、エマニュエル・マクロン仏大統領と面会した。マクロン大統領は面会後、ガッサマさんに帰化市民権が与えられる見込みだと述べた。

マクロン氏は自ら直接、ガッサマさんに感謝を伝え、勇気を称える勲章を授与した。ガッサマさんには消防士の職も与えられる予定だ。

ガッサマさんは、ボートで地中海を越えてイタリアに渡るなどヨーロッパへの長く危険な旅を経て、昨年フランスにたどり着いたという。

ガッサマさんを一気に時の人にした救出劇は26日夕方、パリ北部の路上で起きた。

ガッサマさんが現場を通りかかると、建物の前に集まった群衆を見たという。

「考える時間がなかったので、走って道路を渡り、幼児を助けました」とガッサマさんはマクロン氏に語った。

「私はただ登っただけで、神に感謝します。神が私を助けてくれました。登れば登るほど、もっと高くまで登る勇気が湧いてきたんです。それだけです」とガッサマさんは付け加えた。

ガッサマさんによると、男児はガッサマさんに安全な場所へ引き上げられた時、涙を流していたという。また、足にけがもしていた。

消防士が到着したときには、男児は既に救助されていた。

「幸運にも、子供を救助できるだけの身体能力と勇気を持った人がそこにいた」と消防当局の報道官は述べた。

ガッサマさんは28日、マクロン大統領に面会したImage copyrightREUTERS
Image captionガッサマさんは28日、マクロン大統領に面会した
大統領官邸の外で授与された表彰状を見せるガッサマさんImage copyrightAFP
Image caption大統領官邸の外で授与された表彰状を見せるガッサマさん

地元メディアはパリ当局の話として、4歳児の両親は当時家を不在にしていたと報じた。司法筋によると、父親は、保護責任者による遺棄の疑いで警察の聴取を受けた。母親は当時パリにいなかったとみられている。

パリのアンヌ・イダルゴ市長もガッサマさんの勇気を称賛し、ガッサマさんに電話をかけて感謝の言葉を伝えたと明らかにした。

イダルゴ市長はガッサマさんを救助現場から「18区のスパイダーマン」と言及し、「全ての市民の模範」と呼んだ。

市長はツイッターに「昨晩、子供の命を救った勇敢な行為の実行者、マモウドウ・ガッサマさんに大きなブラボーを。今日、直接電話して心からの感謝を伝えられたことを喜ばしく思う」と投稿した。

<解説>マリ人の新英雄、フランスに出現――アレックス・デュバル・スミス BBCニュース西アフリカ特派員

ガッサマさんが建物を4階まで駆け上がった様子は、もう1人のマリ人の英雄を思い出させた。2015年1月、パリのユダヤ食品専門スーパーマーケットで起きたイスラム過激派による人質事件で全国的に有名になったマリ移民男性だ。

当時24歳だったマリ人従業員の若者、ラサナ・バシリーさんは、事件発生当時店内にいた赤ちゃんを含む6人の買い物客を安全な隠れ場所に誘導し、自身は1人で店を脱出して警官隊を案内し救助に向かわせた。この行動で、買い物客は命を助けられた。

事件まで6年にわたり正規の在住権を求めて仏当局相手に格闘していたバシリーさんは、事件後に勲章とフランスのパスポートを当時のフランソワ・オランド大統領から授与された。

バシリーさんは2016年、著書「私はヒーローではない」を出版し、慈善団体も立ち上げた。団体の最初の企画は、マリ西部にある故郷の村に灌漑(かんがい)設備を作るというものだった。

バシリーさんの人質を守る利他的なリーダーシップと同じように、ガッサマさんの男児を守る英雄的なビル登りは、昔ながらの公的精神の文化を持つ国としてのマリの印象を強固なものにしている。

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